きものは絹(シルク)から作られますが、絹(シルク)は蚕(カイコ)が吐く繭糸(まゆいと)が原料です。

 

 蚕は家蚕、人間が飼いならした家畜ですが、三千年ほど前までは、自然の野山に生息していました。

 

 一方、今でも自然の野山に生息し、桑の葉以外の木の葉を食べて育つ蚕を野蚕(やさん)と言います。

 

 日本ではクヌギの葉を食べて育つ緑色の天蚕(てんさん)と栗の葉を食べて育つ茶色い栗繭(くりまゆ)が有名ですが、生産量が少ないので、見たことがない方も多いかと思います。

 

 インドには、代表的な野蚕の「ムガシルク」と「タッサーシルク」があり、サリーやドレス、ショールなどに利用されています。

 

 「ムガシルク」は金色に輝く美しい糸が特徴で、耐久性があり、柔らかく、滑らかな質感が特徴です。

 

 「タッサーシルク」は自然な金色や茶色系の色合いで光沢感があります。マットな質感で、耐久性のあるシルクです。

 

 京都にある呉服メーカー「貴久樹(きくじゅ)」は、一般的なシルクと違った独特の質感や光沢が特徴の「ムガシルク」や「タッサーシルク」を使い、日本の伝統的な染織技術で、他にない着物や帯を製作しています。

 

着物好きの方には見逃せない着物や帯です。