織絵屋のブログ
July 2024のブログ記事
07/24: 糸を染めてから織る先染めの着物「お召し」の魅力
織絵屋の松山です!今回は「お召し」について述べます。
「お召し」は、正式には「お召しちりめん」です。生産量が少なく、希少な着物でしたが、近年、その魅力に気づく方が多くなりました。
一般的な「ちりめん」は後染め物用の生地ですが、「お召ちりめん」は糸を染めてから織る「先染め」の着物です。
お召しの歴史は古く、平安時代から京都で織られていました。
江戸時代、京都で大火があり、お召しを織っていた多くの職人が幕府の天領地だった群馬の桐生に移り住みました。
やがて、桐生は関東におけるお召しの一大産地になりました。
徳川11代将軍・家斉公が好んでお召しになったことから「御召」の名が付いたと言われています。
その織り方は、通常の生糸の10倍から20倍もの撚りをかけた強撚糸を3,000本以上もの経糸に使い、右撚りと左撚りの強撚糸を緯糸に使って交互に織り込みます。
織り上がった生地を洗うと、糊が取れて独特のシボができ、シャリ感のある、着やすい着物になります。
「お召し」は、軽くて、シワになりにくく、とても丈夫です。袷、または単衣に仕立てられ、セミフォーマルとしても、カジュアルとしても着られます。
男性、女性、どちらにもおすすめの着物です。
07/09: 帯のいわれ
織絵屋の松山です!今回は帯について述べます。
古くより、「帯は格上」、「裸にも帯」、「きもの一枚に帯三本」など、帯にまつわる多くの言葉があります。
これらは、「着物姿においては、何よりも帯が大切ですよ。」という教えでありますが、なぜ、そんな言葉が生まれたのでしょうか?
古来、日本人は長いものには霊的パワーが宿っており、龍神の化身であると考えていたようです。
江戸初期まで、紐状だった細い帯は、庶民が豊かになった江戸中期には、より霊力が強いであろう幅広の帯に変化していきました。
現代でも、結納金は『御帯料』と書かれています。これは、「新しい家族を守ってくれる霊力のある帯を揃えて嫁いで来て下さい。」という意味があるのです。
帯は大切な夫や子供たちを病気やケガから守ってくれる御守りの意味があったのです。ですから、夫や子供たちが大ケガをしたり、大病を患うと、帯の霊力が衰えたと考え、夫人は帯を新しいものに買い替えていたのです。
また、帯には吉祥文様や有識文様が織り込まれています。これも帯の霊的パワーを高めるためだと思われます。
そのような帯のいわれや帯に織り込まれた文様の意味などを知れば、もっと着物を着る楽しみが増えるのではないですか?