織絵屋のブログ

November 2024のブログ記事

Category: きもの歳時記
Posted by: Orieya

織絵屋の松山です。今回は「ビロードのような手触り」「ビロードのような舌触り」など、なめらかさの最上級の比喩の言葉にも使われ、織物の宝石と呼ばれるビロード織について述べます。

 

ビロード織は13世紀のイタリアで発祥し、あっという間にヨーロッパの貴族たちを魅了していきました。

 

日本には、ポルトガルから輸入された鉄砲を包んでいた布として、初めて伝わりました。

 

その織り方は秘密でしたが、細い銅線が残ったビロードの布が発見されたのを機に、その織り方を解明し、早くも江戸初期には西陣で織られるようになったそうです。

 

日本の匠、おそるべしですね。

 

ビロード織は「輪奈織」とも呼ばれ、経糸の一部を浮かし、その部分に針金を緯糸として織っていきます。

 

織り上がった生地から針金を抜くと、タオル地のようにパイル状(糸が飛び出した状態)になります。

 

そのままのモノを「輪奈ビロード」と呼び、パイルの頭部分を切ったモノを「切りビロード」と呼びます。

 

ビロード織は、大正から昭和の初期にかけて、羽織やコート、ショールの生地として重宝され、女性があこがれる織物でした。

 

しかし、戦後はその織り方の難しさから撤退する機屋が増え、現在では1社のみになっています。

 

上品で、軽くて暖かい「輪奈ビロード」のコートは、北国の女性には1枚は持って欲しいコートです。

Category: きもの歳時記
Posted by: Orieya

 織絵屋の松山です!今回は、下記のようなお悩みを解決してくれる「悉皆業」について述べます。

「母の形見の着物、若いときに自分の給料で初めて買った記念の着物、成人式に着た振袖などがある。色んな思い出があって捨てられない。」「娘に着せたいけど、シミ、汚れがあるし、寸法も足りない、好みの色じゃないかも?」「これって、どうにか活かせる方法があるの?」

 

 悉皆(しっかい)とは「ことごとく皆」という意味です。

 

 着物は、白い生地があり、染める人がいて、箔や刺繍を施す人がいて、また、蒸す人、洗う人、シミを取る人…など、様々な分業によって完成します。

 

 これらの職人をプロデュースする、着物に関する全てに精通した人、つまり、オーケストラの指揮者に当たります。

 

 また、古い着物の補正や修正、染め替えの時は、それぞれにふさわしい加工を見極め、各職人さんに指示しなければならない大変な仕事です。

 

 このシミは、どうすれば取れるのか、取れなければ、どういう加工をすれば良いのか?元の色に何色を掛ければ、希望の色になるのか?…など、様々な問題に対処しなければならず、「悉皆(しっかい)」は「やっかい」と敬遠される仕事でもあります。

 

 しかし、古い着物でも、加工の良いモノは悉皆によって見違えるほど素敵に再生されます。否、加工する前より良くなり、感動するお客様もたくさんいます。

 

 例えば、母親の淡いブルーの振袖を藍色系に染め替えされたとき、その深い色に、本人もお母様もお祖母様も三代で感激しておられました。

https://www.youtube.com/watch?v=fcUuVtdFUxY

 

想い出があっても着られない着物を悉皆業の方にお任せして、再びスポットを当ててあげませんか?

トップへ戻る