織絵屋の松山です。今回は、京都と並ぶ着物の一大産地と呼ばれる新潟県について述べます。

 

新潟県の内陸部にある十日町市、小千谷市が着物生産地の中心です。

 

2mを超える積雪があり、また、寒暖差や適度な湿度などが良質な糸づくりの条件に適し、麻織物は1200年も前から織られていました。

 

また、上杉鷹山が米沢藩の財政改革のために、越後(新潟県)の織物職人を呼び寄せて、米沢織などの様々な織物を開発したことは有名です。

 

代表的な織物としては、古くから織られ、国の重要無形文化財にしてされた麻織物の「越後上布」、また、およそ320年前の江戸時代に武士の夏服として開発され、大ヒットした「小千谷縮」があります。

 

近代では、明治の終わり頃から昭和初期まで、女性を魅了した蝉の翅(セミのハネ)とも呼ばれた「明石縮」、単衣の着物として最適な「塩沢お召」があります。

 

さらに、戦後に開発された、入卒業式時に母親たちが揃って着用した「黒絵羽織」、近年に開発された絞り染めの「おぼろ染」も外せません。

 

次々に、魅力的な着物を生み出す産地の熱意は、京都さえ凌ぐかもしれません。

 

近年に2度の大地震に襲われ、廃業した工房もありますが、今なお、苦境に負けずに頑張っている産地です。

 

皆さんにも、応援してもらいたい産地です。