織絵屋のブログ

おきもののことお気軽にご相談ください。初めての方でも、わかりやすくご案内させて頂きます。

織絵屋の松山です。近年、長めの羽織がブームになっています。

 

 

羽織は、本来、江戸時代の武士の正装である裃(かみしも)が変形したものです。つまり、羽織袴の羽織です。

 

羽織は地位を表すもので、農民では庄屋さん、商人では番頭さんにならないと着用できませんでした。

 

現代でも、大相撲の世界では関取(十両以上の力士)でないと、羽織は着用できません。

 

また、江戸時代は、女性は羽織着用禁止令が出され、着用できませんでした。

 

しかし、それでも羽織を着用した一部の女性がいました。

 

未亡人になった女性で、「私はもう再婚はしません!」という意思表示のために羽織を着用していました。

 

また、芸者衆の中で「羽織芸者」と呼ばれる女性は、「私は女を売るんじゃない、芸を売るんだ!」という心意気を羽織で示していたのです。

 

そういうことを考えると、女性の羽織姿は「かっこいい女性」の最高のおしゃれと言えます。

 

羽織に興味のある方は、気軽のお問い合わせ、またはご来店下さい。、

織絵屋の松山です。日本文化は結びの文化と言われます。その最たるものが帯です。そして、どんな着物でも帯を締めなければ完成しません。

 

 

さて、結婚の結納の目録を見てみると、結納金は「御帯料」と書かれています(地方によっては御小袖料)。

 

これには、どういう意味があるのでしょう。

 

一つには、帯は家と家、人と人を結び合わせ、幸せを呼び寄せるという意味があります。

 

二つには、「振袖のいわれ」でも述べましたが、古来、日本人は長いものに霊力が宿ると信じていました。

 

それゆえに、「この帯料で新しい帯を買い揃えてから嫁いで来て下さい。その帯が、あなたの新しい家族となる夫、やがて生まれてくる子供を病気やケガから守ってくれずはずです。」という思いが込められているのです。

 

ですから、昔は、夫や子供が大病したり、大ケガした時には、その帯の霊力が弱くなったと考え、新しい帯に買い替えたのです。

 

現代でも、女性の大厄33歳のときには、母親が新しい帯を贈って厄除けとする風習が残っています。

 

これらのことから、「着物1枚に帯3本」「裸にも帯」などの言葉が生まれたのです。

 

帯のコーディネートでお悩みの方は気軽にお問い合わせは、またはご来店下さい。

織絵屋の松山です。前回、古くより日本人の最高の礼服は黒無地の五つ紋、すなわち黒紋付でしたと述べました。

 

 

黒は他の何色にも染まらない極みの色です。また、五つ紋は、背紋がご先祖を、二つの袖紋が両親を、そして、二つの胸紋が兄弟親戚を、つまり、家の代表者を表します。五つ紋黒紋付は、家を代表できる一人前の大人の証だったのです。

 

ですから、葬式に限らず、結婚式、卒業式等の人生の大切な節目の席には、黒紋付が相応しいと言えるのです。

 

喪服は、古くは身内は白、参列者は黒というのが多かったようです。

 

喪服が正式に黒になったのは、明治30年に英照皇太后が亡くなられたときに、宮内省より「喪服は白襟に黒紋付」との告示がされた時からです。上流階級から広まって、一般大衆にも定着していきました。

 

古来、日本人は輪廻の思想を持っており、人の死は肉体と魂の別離を言います。葬式は、肉体と魂を分離させる儀式であり、儀式の最中は、故人(魂)は、まだそこにいるわけですから、喪主は故人の名代ということになります。

 

喪主は、故人とのお別れのために、わざわざ時間を割き、お悔やみに来られた方々に、故人に成り代わって礼を尽くすということです。

 

これらのことから、身内の葬儀の装いは、最高の礼服である五つ紋の黒紋付が相応しいと言えます。

 

 黒紋付(喪服)の選び方でお悩みの方は、気軽にお問い合わせは、またはご来店下さい。

織絵屋の松山です。現代では、五つ紋の付いた黒の裾模様の着物、または五つ、三つ、一つの紋が付いた色裾模様の着物を指します。

 

 

前回、振袖は結婚すると袖を振ることを止めるので、留袖(止め袖)になると述べました。

 

留袖は、本来、詰め袖とも言われ、袖を詰め、振りと身八つ口のない袖付けの着物で、「既婚女性は身持ちを固く」と、脇を詰めていたのです。

 

それが、結婚をした女性は家にしっかり根を張り、その家に留まるという意味で留袖と変遷しました。

 

古くより、日本の最高礼服は黒無地の五つ紋、すなわち黒紋付でしたが、晴れの席では色裾模様の詰め袖(後の留袖)でした。

 

五つ紋の黒紋付に裾模様が描かれるようになったのは、江戸末期に芸者衆が着始めてから流行したと言われています。このことが、留袖のことを江戸褄(えどつま)とも呼ぶいわれです。

 

黒留袖も色留袖も、五つ紋なら同格です。ただし、宮中では色が優先されますので、必ず色留袖を着用します。

 

しかし、我が子の結婚式では、身内は控え目にという意味で、黒留袖がふさわしいと思います。

 

最近では、少子化の影響もあって貸衣装で済ますという方も多いですが、家を代表するモノとしてお召になるのが五つ紋の着物ですので、やはり、我家の家紋を付けた黒留袖の着用が望ましいと思います。

 

そういう意味では、黒留袖は、奥様が夫に胸を張って「あなたの名代として着る着物だから買ってちょうだい!」と言える着物だと思います。

 

留袖でお悩みの方は、気軽にお問い合わせは、またはご来店下さい。

織絵屋の松山です。今では、振袖は成人式用のユニフォームの代名詞のように思われていますが、多くの人が知らない深い意味があります。

振袖は、本来、未婚女性の第一礼装で、袖丈の長い着物を指します。

 

振袖は、「ふる・そで」でもなく、「ふれ・そで」でもなく、「ふり・そで」と呼びます。

 

「ふり」は「振り掛ける」や「振り払う」というように、振って何かをするというときに使います。それでは、袖を振って何をするというのでしょうか?

 

古来、日本人は振ることによって霊を呼び寄せ、新しい生命が生まれると考えていました。

 

古い祝詞に、「ふるべゆらゆら」という言葉があります。これは、モノをゆらゆら振ると、そこに霊が降りて来て、生命を与えてくれる現象を言うそうです。

 

つまり、振袖は袖を振ることによって、伴侶となる男性の霊を呼び寄せ、新しい命を授かると考えていました。そして、振るモノが長いほど、そのパワーが大きいと考えていたのです。

 

今も昔も、未婚の娘を持つ父母、祖父母の一番の願いは、娘の幸せな将来です。「どうか、娘が良い男性と巡り会い、元気な子宝に恵まれますように!」という切なる願いを、長い袖の振袖に託したのです。

 

結婚すると、袖を振ることを止めるので、止め袖(留袖)となるのです。

 

娘さん、孫娘さんに振袖を揃えて上げるときは、こんな振袖のいわれも伝えて下さい。

 

振袖でお悩みの方は、気軽にお問い合わせは、またはご来店下さい。

 

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