前々回の『竹』、前回の『梅』に続いて、今回は『松』の文様について述べます。

 

松は、古代中国では風雪に耐え、厳寒の冬にあっても常緑を保つことから節操が高いことを意味しました。

 

神通力のある仙人が松の木に住み、松の実を食すという仙人思想と結びついて、松は長寿延命の印とされていました。

 

また、松の文字の「公」は男性・父親を表す文字です。『松竹梅』は『父・子・母』を指します。

 

日本でも、古くより、松はどんなに痩せた土地や岩の割れ目でも、長い時を待ち続けて、やがて、芽を出し生長する生命力、千年を超える寿命、また、四季を通して葉の色が変わらない「常盤木(ときわぎ)」であることから縁起の良い吉祥のシンボルとされてきました。

 

松の文様には様々な種類があります。

 

松の木そのものの文様としては、生命力があふれる「若松」、長寿で姿が雄々しくも美しい「老松」、門松のルーツと言われる「根引き松」などがあります。

 

また、松皮菱文様は、剥いだ松の皮をデザイン化したものです。

 

松葉は、他の木の葉と違い、二枚の葉が元で結ばれ、落葉しても二枚の葉は離れないことから、松葉文様はあの世までも一緒にいるという永遠の愛・結びつきを表します。