織絵屋の松山です。緯糸に太くて豊富な色糸を使って文様が織られた唐織の帯は、豪華に見えてとても軽いことから女性が憧れる帯です。今回は、唐織の帯について述べます。

 

  唐織は中国の織物という意味ですが、実際には室町時代から日本で織られるようになった縫取り織の一種です。

 唐織が日本で織られるようになった理由は、能装束にあります。能装束の文様は元々、刺繍で作られていました。

 

 しかし、豪華な文様の能装束は制作に時間が掛かり過ぎ、また、重くて舞い手の負担は大変なモノでした。

 

 糸を浮かせて織る織り方が中国から伝わり、平安時代の十二単の上着(唐衣)に用いられていました。

 

この唐衣の織り方を日本で改良と工夫を重ねて「唐織」が生まれました。

 

 唐織の特徴は、生地を織りながら太い緯糸を織物の表面に浮き上がらせて、立体感のある文様を表現するので、とても豪華です。また、裏糸、1本1本を丁寧に切り取り、整理するのでとても軽いモノになります。

 やがて、帯の製法にも使われるようになったのです。

 

 京都・西陣にある創業117年の「鈴木」では、フォーマル用だけでなく、カジュアルな紬や小紋にも締められる「水衣錦」という唐織も織っています。