織絵屋の松山です。私は会社(店)から帰宅すると、自宅用の普段着に着替えます。着物を脱いで、また別の着物に着替えるのですが、5分もあれば十分。

 

これは、私が男なので、男の着物は着丈で作られていますし、帯結びも簡単だからです。

 

しかし、女性の着物には「おはしょり」という余分な部分があります。これが、女性が自分で着物を着るときの第一の関門になっています。

 

 

なぜ、女性の着物だけに「おはしょり」があるのでしょうか?

 

「おはしょり」になる部分は、身丈から着丈を引いた30cmほどで、ちょうど帯の下部分になるところです。

 

「おはしょり」があることで、腰紐の位置をずらせば、少々の身長の違いは問題なく着られる合理性があります。

 

また、着丈の着物は少し動くだけで着くずれしやすく、前部分がはだけてしまいます。特に、女性の場合は胸のふくらみがあるのでなおさらです。

 

実は、もうひとつ「おはしょり」には深い意味があります。

 

時代劇等で、おはしょりをせずに着物を引きずっているシーンをよく見かけると思います。

 

源氏物語でも分かるように、昔は男性が女性のところに通う「通い婚」でした。そのため、女性の着物には夜具(布団)の役目が必要だったと言われています。

 

それ故に、「おはしょり」に女性の色気が漂うのかもしれません。