織絵屋の松山です。前回の『小紋』でも述べましたが、江戸小紋は武士の裃から発展しました。裃に染められた文様でどこの藩士か分かるようにしたのです。

 

 

庶民の服装が華やかになると、江戸幕府は、庶民が絞りや友禅などを着用することを禁じる奢侈禁止令を出しました。

 

すると、庶民は隠れたところにオシャレを楽しみました。

 

長襦袢や羽裏などに贅を尽くしました。そして、遠目には無地にしか見えない極小柄の江戸小紋を羽織や着物に用いたのです。

 

もちろん、各藩の裃に使われる文様(柄)は使えませんので、いわれ小紋と呼ばれた「南天(難を転じて福となすの意」、「六瓢箪(むびょうたん・無病)の意」などの文様や「大根におろし金」、「魚に包丁」といった生活用品の文様を使いました。

 

江戸小紋の染め方は、白生地に文様を彫った型紙を使い、糊を型置きしていき、その上から地色を染めます。その後、水洗いすると型置きした糊が洗い流され、白い文様が現れます。

 

型紙は伊勢の白子(三重県鈴鹿市)で作られていますが、楮の和紙3、4枚を柿渋で貼り合わせ、数年から10年も寝かせてから、初めて型彫りします。

 

型彫りに使う様々な道具も、職人が自ら手作りするそうです。

 

糊の型置きは型紙を40~100回以上も移動して文様(柄)がピッタリ合うようにしなければなりません。

 

一反の着物を染めるために使われる時間と労力の、なんと贅沢なことでしょう。

 

時間に追われる現代人に、ぜひ、来てもらいたい江戸小紋の着物、羽織です。

 

「あら、ステキな色無地ね」と思わせておいて、「近くで見て!実は、これ、江戸小紋なのよ!」なんて、考えるだけで楽しいと思いませんか?

 

江戸小紋が気になる方は、是非、お問い合わせ、または一度ご来店下さい。