織絵屋の松山です。今回は型友禅について述べます。

 

いわゆる友禅染とは、文様の輪郭を糊糸目で防染した後、その中に色を挿していく染技法です。

 

江戸時代の友禅染は、草木染料を使った手描きの一点物なので、大量に作ることは出来ませんでした。また、高価なために将軍家や大名、御所方、そして豪商など一部の人しか手にすることは出来ませんでした。

 

明治時代に、広瀬治助という友禅染の匠が、ドイツから輸入した化学染料と米糊を混ぜた色糊を使い、画期的な友禅染の染技法を開発しました。

 

色糊は染付と防染を同時にでき、型紙を使うことで同じ模様の着物をたくさん染めることが可能になったのです。この染技法によって、友禅は広く庶民の間にまで普及したのです。この染技法が型友禅です。

染め方をごく簡単に述べます。

 

まず、図案に合わせて、色数の分だけ型紙を作成します。板に張り付けた白生地の上に型紙を乗せ、鹿の胸毛で作られた特殊な刷毛で色糊を摺り込んで、染めていきます。

 

しかし、着物需要が激減した今日では、数多く染めることがないので、逆に型紙のコスト(数十枚から百枚ほど)がネックとなり、逆に希少になっています。

 

型紙を何枚も用いた型友禅は、本友禅とは違った立体感のあるほっこりした着物に染め上がります。