織絵屋の松山です。今回は着物素材の一つ「麻」について述べます。

 

江戸中期頃まで、一般的な着物の素材と言えば麻でした。日本では、古来、麻とは「大麻」と「苧麻(ちょま)」のことを言いました。 

 

 

しかし、戦後、GHQにより大麻の栽培は許可制になり、現在の麻織物のほとんどが苧麻で織られています。

 

ちなみに、「麻の葉文様」は大麻の葉を文様化したものです。

 

 

麻の歴史は古く、縄文時代より栽培されていました。古代日本語では「あ」は始まり、「さ」は田の神を意味することから、麻は、日本人が初めて栽培した植物とも言われます。

 

麻繊維の主な特性は、①天然繊維で最強の強度である。②吸湿、放湿性に優れている。③接触冷感性(触れた時に冷たく感じる)に優れている。④保温性がほとんどなく、涼しい。⑤汚れが洗濯で容易に取れる。⑥シャリ感がある。などが挙げられます。

 

シワになりやすいという特性もありますが、霧吹きなどで水を吹き付ければ、すぐにきれいに取れます。

 

これらの特性から、高温多湿の日本の夏の普段着に、最高の素材と言えます。

 

代表的な麻織物には、越後上布、宮古上布、八重山上布、能登上布などがあります。これらは、上布は本来、献上品ですので、結構な高額品になります。

 

私のオススメは麻の紡績糸(ラミー)を使った小千谷縮です。緯糸に強撚糸を使い、大きなシボを出した生地ですので、汗をかいても肌に貼りつかず、サラッとしています。

 

また、お手頃価格なので、今年は先人たちが真夏でも快適に過ごせた秘密を体感して下さい。