織絵屋の松山です。今回は「七夕」を「たなばた」と読む理由と「きもの」の語源について述べます。

 

 七夕は、本来、「しちせき」と読むのが正しく、奈良時代に中国から伝わった五節句の一つで笹の節句とも言われます。

 

 中国から五節句が伝わり、7月7日は「七夕(しちせき)」の節句にあたりましたが、日本ではそれ以前から7月7日は「たなばたつめ」の行事がありました。

 

 もちろん、7月7日というのは旧暦ですので、大暑の頃になります。台風や日照りが発生しやすい頃なので、古代では、それまで順調に育った稲などの作物が台無しになることも度々でした。

 

 そこで、雲を動かし、風を吹かせ、雨を降らせる龍神に「どうか、雨風の被害がなく、豊作でありますように!村人が幸せになりますように!」と、祈る行事が「たなばたつめ(棚機ッ女)」の行事でした。

 

 村から選ばれた乙女が水辺のほとりの小屋で、龍神の衣装になる白絹を織り、棚に捧げたのです。

棚に捧げた白絹が「巻物(まきもの)」状だったことが「きもの」の語源となったと言われます。

 

 日本古来の「たなばたッ女」の行事と「中国の七夕(しちせき)」が混同され、七夕は「たなばた」と読まれるようになったと言われています。