織絵屋の松山です。今回は、伊勢型紙を使って染めた本物の江戸小紋について述べます。

 

 伊勢型紙を使って染めた本物の江戸小紋は不思議な着物と言えます。

 

 数年前、私が姪の結婚式に江戸小紋を着用して出席した際、同じテーブルの若い女性に「その着物、かっこいいですね!」と言われ、江戸小紋について熱弁した思い出があります。

 

 また、こんなこともありました。「その色系は私には似合わないわ!」というお客様が、実際にその江戸小紋を試着してみたら、顔を輝かせて「これ、いい!」と、即、購入を決められました。

 

 錐彫り(きりぼり)の伊勢型紙を使って染められた江戸小紋は、ほとんど無地に見えますが極小の点で文様が染められています。

 

 半円柱状の錐を回転させながら多いモノでは3cm四方の中に1,000個もの穴が開けられた伊勢型紙は、鮫や角通し、行儀などの様々な文様があります。

 

 すべて同じ点に見える職人の手技ですが、拡大すると微妙に違いが見えます。これが「ゆらぎ」なんですね。だから、着る人を引き立てるのだと思います。

 

 この錐彫りの他に、「縞彫り」「突き彫り」「道具彫り」の伊勢型紙を使って染めた江戸小紋があります。

 

 江戸小紋は、今、訪日の外国人が使う「クール」という言葉にぴったりの着物と言えます。